会社辞めて良かった

15年間外資系金融機関で働き、現在はフリーのPMOです。

頭取は何もしない人?

 

住友銀行秘史

住友銀行秘史

 

「銀行で頭取になりたいのならどうすればよかったか。それは何もしないことだ。減点主義の組織なのだから(P464)」

 

話題になった本書だが、上記が銀行という組織を示している。

 

戦後最大の経済事件と言われたイトマン事件について、当時のメモから真相に迫った力作である。

 

約25年前の事件で、「自分には関係ない」と思われる方が多いかもしれないが、現在のマイナス金利政策などは、バブル崩壊の後遺症とも考えられる。

 

筆者が、イトマンに対して会社更生法を適用しようとした際、大蔵省(現・財務省)と住友銀行(現・三井住友銀行)の上層部が止めに入った様子が、「イトマン会社更生法の舞台裏(P325)」で、生々しく描かれている。

 

「あのとき、住友銀行イトマン会社更生法を申し立てていたとしたら。その後の日本の金融史は大きく変わり、改革が始まって、『失われた10年』もなかったのではなかろうかと(P328)」

 

本書は、第二次大戦時の旧日本軍を分析した「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」に似ていると感じた。

 

ミッドウェー開戦の敗北で勝ち目がなくなったにもかかわらず、大本営は真実を公表せず、原爆投下、ソ連参戦まで戦争を続けた。

 

バブルが崩壊しても、「地価はその内、上昇する」と不良債権問題を明かにせず、大手金融機関の破綻まで動かなかった当局は、戦前の大本営そっくりだ。

 

本書は、金融機関志望の大学生にもおすすめだ。

 

「今どきこんなことやっていないだろう」と感じた方いるかもしれないが、内実は現在もほとんど変わっていない。

 

減点主義、前例主義、学閥など、社内営業がほとんどの世界である。

 

本書で一番多い項目が「行内で情報収集」であることが、全てを物語っている。

 

住友銀行秘史

住友銀行秘史