会社辞めて良かった

15年間外資系金融機関で働き、現在はフリーのPMOです。

「けっして」は要注意

 

リスク・コミュニケーションの思想と技術: 共考と信頼の技法

リスク・コミュニケーションの思想と技術: 共考と信頼の技法

 

「アメリカの不動産価格は下がらない、ユーロ危機は起こらない、日本で原発事故は起こらない」

 

上記は、ほんの数年前まで信じられてきた神話である。

 

残念なことに、アメリカの不動産価格はリーマン・ショックで暴落し、ギリシャ危機でユーロは揺れに揺れ、福島で原発事故が起こった。

 

神話が作られる際、関係者全員が得をするという前提があると私は考えている。

 

原発安全神話で、電気料金は安く、原発の地元は補助金で潤い、電力会社はコストを抑制できた。

 

誰か損をする人がいれば、安全神話はできなかっただろう。

 

本書は、リスク・コミュニケーションの解説書である。

 

広報などを活用し、リスクをどう伝達するかについて、様々な議論が行われている。

 

「技術の開発や政策を促進する立場の側からの広報(P66)」部分が興味深い。

 

1988年7月5日の朝日新聞に掲載された電気事業連合の広告が、本書P67に示されている。

 

「日本ではチェルノブイリのような事故はけっして起こり得ない」

 

電気事業連合が述べた「けっして」がポイントだ。

 

「けっして」は「ゼロリスク」のことであり、原理的にあり得ないことだ。

 

皆様の周りに、「けっして」や「絶対に」などの言葉を使う「ゼロリスク」思考者はいないだろうか。

 

いる場合は本書を紹介し、リスク・コミュニケーションを学ばせよう。

 

リスク・コミュニケーションの思想と技術: 共考と信頼の技法

リスク・コミュニケーションの思想と技術: 共考と信頼の技法