会社辞めて良かった

15年間外資系金融機関で働き、現在はフリーのPMOです。

踊るウォール街

 

アメリカの資本主義

アメリカの資本主義

 

明日投票が行われる米大統領選が、これまでのものと決定的に違うのは、富裕層に対する課税方針だろう。

 

伝統的に民主党富裕層への課税強化、共和党は富裕層に対して減税を打ち出すパターンが多かったが、今回は逆の傾向が見られる。

 

中産階級のやや収入が少ない層(特に白人層)が、トランプ候補を支持していることも要因の一つだろう。

 

一方、ヒラリー候補の夫であるビル・クリントン元大統領は、FRBグリーンスパンとともに、ウォール街寄りの政策を実行していたこともあり、ヒラリー候補ウォール街から多額の献金を受けている。

 

国民の預金を預かる銀行(商業銀行)と、株式投資をする証券会社の兼務を禁じていたグラス・スティーガル法を廃止したのは、クリントン政権時代(1999年)である。

 

2008年のサブプライム・ローン危機の元凶は、グラス・スティーガル法の廃止であったとする意見が多く、2002年、2003年にニューヨークに駐在していた私も同意見である。

 

今回紹介する「アメリカの資本主義」は、異端派経済学者であったジョン・ガルブレイスによる「社会批判のエッセイ(P11)」だそうだ。

 

ガルブレイスは、生涯を通じてリベラルな立場を堅持したことで知られている。

 

本書で印象的だったのは、「第二次世界大戦後のアメリカ経済における経済的安定の重要な源泉の一つは、30年代の恐慌が発生するかもしれないという底知れない不安感だった(P231)」という部分である。

 

2008年以降の米政府による金融機関、自動車業界への天文学的な金額の公的資金注入は、ガルブレイスの言う「底知れない不安感」を払拭するためのものだったのかもしれない。

 

世論調査により市場が荒れ、右往左往しているウォール街だが、今回の大統領戦後、様々な踊りを繰り広げるのだろう。

 

2003年にある米大手金融機関のCEOは、「音楽がなっている間、我々は踊り続けなければならない(バブルの可能性があっても市場が高騰する以上、投資をして収益を上げなければいけないという意味)」と言った。

 

ガルブレイスは本書で、「われわれは今なお、短期的には需要過剰の可能性を有し、長期的には内発的な崩壊の可能性を秘めた好況の暗い影の下に生きている(P231)」と述べた。

 

彼の言う「内発的な崩壊の可能性」とは、今回の大統領選そのものなのかもしれない。

 

アメリカの資本主義

アメリカの資本主義