仮想通貨評論家コインマンブログ

15年間外資系金融機関で働き、現在は仮想通貨評論家コインマンとして仮想通貨の記事を執筆しています。Twitterをフォロー頂ければ(@PMO_Group)、毎日記事をお読み頂けます。また、プロジェクト管理のコンサルタントもしています。記事執筆やコンサルティングのお問い合わせは、お気軽にどうぞ(coinmanpmo@gmail.com)。

円安は毒薬か?

 

円安待望論の罠

円安待望論の罠

 

本書「円安待望論の罠」は日本を代表する為替介入批判論者である野口悠紀雄による円安待望論を否定する資料である。

 

外資系金融機関に長年勤めた私は、野口の殆どの資料に目を通している。

 

野口の代表作である「1940年体制(増補版) ―さらば戦時経済」は国内ビジネススクールの教科書として使用されており、ファイナンス分野における影響力は大きい。

1940年体制(増補版) ―さらば戦時経済

1940年体制(増補版) ―さらば戦時経済

 

 さて、「円安待望論の罠」では、「円安のメリットは中小企業に及ばない(P33)」と野口は述べている。

 

円安は、自動車など輸出を行う大企業の利益を押し上げるが、中小企業は置き去りにされていると野口は述べている。

 

「日本経済はドルで見れば縮小している(P53)」、「企業利益が増えるのは、円安で実質賃金が下がるから(P63)」の記載は、様々な示唆を含んでおり、金融業界だけでなく、様々な業界関係者にとって参考になる。

 

「通貨安の怖さを知っている国民と知らない国民(P71)」では、2015年のギリシャ危機を例にとって、「日本人は円安を良いことだと思っている(P72)」ことを批判している。

 

野口の意見に同意できないのは、「円安による外国人観光客の増加は良いことであるという考えは間違っている(P74)」という部分だ。

 

それ以外の部分は、教養として参考になる記述が多く、「中世ヨーロッパでの為替手形の発明(P218)」では、為替による利益とイタリアルネッサンスの経済的基盤の相関について興味深い分析が行われている。

 

金融関係者、輸出企業勤務者は勿論だが、あらゆる業界で働く方々に明日への話題を提供する一冊である。

 

円安待望論の罠

円安待望論の罠