会社辞めて良かった

15年間外資系金融機関で働き、現在はフリーのPMOです。

なぜ中小企業には人事部がないのか? 

 

人事部のつくりかた

人事部のつくりかた

 

 「なぜ中小企業には人事部がないのか?」

 

これは本書の第一章の見出しだが、中小企業は人数が多くないため、社長が人事の仕事をやっていることが多いためだ。

 

また、「総務部人事係では会社は伸びない」とも本書は述べており、人事部の重要性を強調している。

 

「10人以上の会社組織になったら、本当の意味での人事部をつくることが企業の反映に直結する」という意見も面白い。

 

人事関連の仕事をしている人におすすめの一冊だ。

 

人事部のつくりかた

人事部のつくりかた

 

 

多様性を活かせない

 

組織変革のレバレッジ: 困難が跳躍に変わるメカニズム

組織変革のレバレッジ: 困難が跳躍に変わるメカニズム

 

組織変革というのは古今東西難しく、多くの経営者が頭を悩ませている課題である。

 

経営コンサルタントという職業が成立しているのは、内部のしがらみや前例主義などに捕らわれて、自社で変革することが難しい企業が多いためであると言われている。

 

今回紹介する資料は、組織変革を行う上での具体的手法や困難にぶつかった際の対処法などを網羅した良書である。

 

 

興味深かったのは「多様性を活かせない(P103)」部分で、「多様性があるほど、チーム内の価値観の不一致や衝突も起こりやすくなる(P104)」と述べている部分は、私自身が経験したことでもあり、大変面白い分析を行っている。

 

合併企業で働いている人や、経営トップからの指示で組織変革プロジェクトなどに参画している人などにおすすめの一冊だ。 

組織変革のレバレッジ: 困難が跳躍に変わるメカニズム

組織変革のレバレッジ: 困難が跳躍に変わるメカニズム

 

 

上がらない物価、焦る政府・日銀

 

ポスト「アベノミクス」の経済学

ポスト「アベノミクス」の経済学

 

 日本銀行が目標にしている物価上昇率2パーセントの達成が困難になり、日銀総裁である黒田氏の任期中の実現が絶望視されている。

 

そんな中、「転換期における異議申し立て」としてアベノミクスに異論を唱えているのが本書である。

 

さまざまな経済学的な視点からアベノミクスへの議論を投げかけているが、具体的に物価を上昇させるための施策が見えにくいのは学者が書いている資料であるからだろうか。

 

物価が上がらない要因は色々と述べられているが、今日(2017年8月4日)の日経新聞ににも書かれてあったと思うが、インターネットの普及も大きな要因の一つだろう。

 

家電量販店に行っても、スペックや実物の雰囲気を確認するけで、実際の買い物はインターネットで最安値を探して購入するパターンが増えており、こうなると物価が上昇する余地は少なくなる。

 

経済学専攻の学生の人やエコノミスト志望の人におすすめの資料である。 

ポスト「アベノミクス」の経済学

ポスト「アベノミクス」の経済学

 

 

どのような人間になるか

国民国家と経済政策 (転換期を読む)

国民国家と経済政策 (転換期を読む)

 

今回紹介する資料は、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)」で知られているマックス・ウェーバーが、教授に就任した際に行った講演内容を記したものである。

 

タイトルの通り、経済政策に関する内容が多いが、将来の人類がどのような生き方をするかなどについても述べており、ウェーバーの考えを読み解くことができて興味深い。

 

印象的だったのは、以下のフレーズである。

 

「われわれ自身の世代が墓場に入ったのちのことを考えるさいに、われわれが心をゆすぶられる問題は、未来のひとびとはどのような暮らしをするかということではなくして、かれらがどのような人間になるかということです(P31)」

 

後世の人々が、「どのような人間になるか」を心配している点にウェーバーのスケールの大きさを感じるのは私だけだろうか。

 

仕事や勉強などで目の前のことしか考えられなくなっている状態の時、頭をリフレッシュさせ、未来のことを見据えるきっかけになる良書である。 

国民国家と経済政策 (転換期を読む)

国民国家と経済政策 (転換期を読む)

 

 

 

経営学は科学を目指している

 

ドラッカー『現代の経営』が教える「マネジメントの基本指針」

ドラッカー『現代の経営』が教える「マネジメントの基本指針」

 

 ピーター・F・ドラッカーは、実践経営学の元祖として知られているが、日本での人気と比較して、アメリカではそれほど重宝されていない。

 

私は、フランスのビジネススクールに行ったが、ドラッカーの名前は結局一回も聞かなかった。

 

代わりに聞いたのは大前研一氏の名前であり、名著「企業参謀 (講談社文庫)」は何度も授業で登場した。

 

私の学校が大前氏押し(?)だったのかもしれないが、経営学の大家であるポーターやコトラーと同格の扱いをされていた気がする。

 

今回紹介する資料では、「ドラッカーの理論がアメリカではあまり使われていない」旨の説明が登場する。

 

「世界の経営学は科学を目指しているが、ドラッカーの言葉は名言であっても、科学ではない(P43)」と本書は述べている。

 

日本でMBAや大学院卒の人が評価されない理由として、日本企業の「新卒一括採用、同期過剰意識文化」があるとされる。

 

また、「経験、勘、度胸」の頭文字を取ったKKD経営が日本では行われていると言われており、アメリカの経営学が科学を目指しているのに対して、日本の経営者の何パーセントかは、現在もKKDを重視しているのは驚きである。

 

経営学に興味がある人、アメリカのビジネススクールに行きたいと考えている人におすすめの一冊だ。

ドラッカー『現代の経営』が教える「マネジメントの基本指針」

ドラッカー『現代の経営』が教える「マネジメントの基本指針」

 

 

失敗の法則

 

本書は、名著である「失敗の本質」が描き切れなかった「失敗の8つの法則」について解説している。

 

「現場は優秀なのに無能なトップが多い」

 

これは戦前の日本軍について言われたことだが、現代の日本企業も同じ症状に陥っているという。

 

東芝崩壊、電通事件、豊洲移転問題から原発事故まで、現代日本の「失敗」のなかで行なわれた「日本人の決め方」を本書は緻密に分析し、それを8パターンにまとめている。

 

職場の雰囲気が微妙であると感じているビジネスパーソンに、おすすめの一冊だ。

 

Kindle 版が、読みやすい。

 

 

問題の原因は社内にある

 

衰退の法則―日本企業を蝕むサイレントキラーの正体
 

東芝やタカタなど、日本を代表する企業の破綻劇がメディアを騒がせているが、今回紹介する資料の仮説は、「破綻する日本企業は似ている」である。

 

社長や会長経験者などが相談役や顧問の役職でいつまでも企業内におり、経営者の判断を狭めていると主張する人もいる。

 

長らく外資系企業にいた私にとって、「カルロス・ゴーン氏の見た日産(P8)」部分が興味深かった。

 

「日産の業績が傾いたのは日本の景気後退のせいでも、競争相手が強すぎたからでもありません。その原因は社内にあったのです(P11)」

 

現在、経営している会社や勤務先の業績が思わしくない方は、上記ゴーン氏の言葉を考えてみてはいかがだろうか。

 

問題があると、人間は「原因他人説(人のせいにすること)」に陥りがちだが、「原因自分説(自分のせいであること)」に立ち返らなければ、解決につながりにくいものだ。

 

ビジネスパーソン必読の資料である。Kindle版が、読みやすい。

衰退の法則―日本企業を蝕むサイレントキラーの正体